マイクル・クライトン氏、彼岸へ
66才。早い、早すぎるよ。
小説をあまり読まなくなっているぼくが、新刊が出たら必ず買うことにしていた一人なのに。
面白くない作品はひとつもないけれど、ぼくはやはり『ジュラシック・パーク』。
本屋で、クライトンの新作だ、と思って見つけたハードカバー。いつもの酒井さんの翻訳、そして表紙が生頼範義のイラストでティラノザウルスにヘリコプター! 舞台は現代だ、ということは! クライトンの、コナン・ドイルへのオマージュに違いない、と思ってドキドキしながら買ったこと、あの書店の平積みの状景をよく覚えています。
スピルバーグが映画化というのもある意味必然……ぼくより世代は少し上だけれど、でも間違いなくぼくが読んでいたのと同じ作品を読んで、同じように恐竜や宇宙にわくわくする少年時代を送った彼らが生み出す新たな物語。
作品ごとにがらりと舞台を変えながら、そのたびに最新の科学技術や、そのときどきの社会状況を盛り込んで、ポジティブでリベラルな姿勢を感じさせつつ、息もつかせないストーリーを展開してくれたクライトンはまさに、現代社会で大人になってからも読み続けることのできるコナン・ドイルでした。
幸か不幸か、昨年出た『NEXT』は、ゆっくり時間ができたときのために「とっておき」積ん読状態だったのと、彼の人生を読むより彼の紡ぎだす物語を読みたいと思って読んでいなかった『トラヴェルズ』……ああ、もうこれしか読めないのか……。
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