細やかなアップルデザイン:あえて変化しないポインタ
Mac OS Xでのウインドウ四隅でのマウスポインタの変化。
ウインドウの隅では通常、マウスポインタは斜めにウインドウを拡大縮小できることを示す形状に変化する。
例えば、ウインドウ左上端では斜め両端矢印にポインタが変化する。
しかし、フルスクリーンにできるウインドウの場合、右上の角でのみポインタが変化しない。
フルスクリーンにできるウインドウの右上端には「フルスクリーン化ボタン」のアイコンがある。
このアイコンと、ウインドウ拡大可を示すポインタの形が似ているので、「このポインタ形状の状態でクリックするとウインドウがフルスクリーンになる」という誤解を生む可能性がある。
そのようなアイコン形状のコンフリクトを避けるためだろう。
ただし、この状態でもウインドウの大きさを斜め方向に変えることはできる。
操作可能であることの明示よりも、誤解を生むのを避けることを優先。
本来であれば「できるんだなと事前に確認できて、やってみてできる」のがベストだが、「できないのだろうと思ってやらなかった」というマイナスよりも、「できるのかなと思ってやってみたらできなかった」というマイナスのほうが大きい、という判断をデザイナーがしたということ。
一方、フルスクリーン化できないウインドウの場合は、ウインドウ右上端にフルスクリーン化アイコンが存在せず、したがってアイコンのコンフリクトがないので、ポインタはちゃんと変化する。
当然この状態でウインドウの大きさを変えられる。
こういうことをちゃんと考えて、一手間かけている(フルスクリーン化できるウインドウの右上隅だけ変化しない、という例外処理をわざわざ入れている)ところが、アップルのデザインの細やかさ。
おまけ
このインタラクションはアップル製だけでなく、他社のソフトウェアでも同じ。
Word, PowerPoint, Excelでも同様。よしよし。
しかし、
最新のOneNote for Macはなんと……
コンフリクト。
MS、だめじゃん。
何も考えないとこうなります、という悪い見本、でした。