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2008 / 11 / 19

雑誌の顔、表紙の顔

by ayumu

エビちゃん「卒業」記念のCanCam表紙にはちょっと驚かされた。表紙が二枚あって、一枚めをめくった二枚目が通常の表紙。二枚ともエビちゃんの写真だが、一枚めは、記事名の紹介などがまったくない、エビちゃんを完全にフィーチャーした表紙です。ひとりの女性の存在だけで雑誌が売れるということをあれほど象徴している表紙はないでしょう。
とはいえ、ご卒業後の進路がAneCanというのはどうなのかと思わないでもない。小学館としては、こんな人を逃してなるものかというところでしょうが、もうすこし路線を変えてみてもよかったのではないかと……まあぼくが言ったところでどうにもなるものでもありませんし、それでいいかというと、何の根拠もないのですが。

さてここまでは前ふりで、これからが書きたかったこと。
同じようにひとりの人を表紙に載せるのでも、まったく違う路線、違う目的で、こちらは別の意味ですごい。
そしてすばらしい。
数少ないリベラルな雑誌の中でおそらく最大部数を誇る(そして一般的な認識もジャンル的にもリベラル雑誌ではない)この雑誌、『通販生活』のこの表紙はどうだ。
ただ彼を表紙にした雑誌も、ぼくは見た覚えがないけれど、ましてや「あなたはわたしたちの誇りです」とこれほど大きな文字で高らかにうたった雑誌はほかになかろう。
そして雑誌には、1ページも伊藤さんに関する記事はないのです。表紙がすべて。

わずか180円の、「モノを売るための」雑誌なのに、この雑誌はそれだからこそ、ほかの雑誌には見られない生真面目さで、私たちの生活と実際にはつながっているあらゆる出来事に眼を配ることを忘れない。忘れてはいけない、と自らに言い聞かせるように、地道に、様々な現象をとりあげ、様々な立場の意見をとりあげる。
立ち位置、表現のしかた、内容、そして商売の方法、あらゆる側面で興味のつきない雑誌であり企業です。

本文では、尊敬してやまない落合さんの対談連載、今回は姜さんがお相手。ビルマ軍事政権に抗議するTシャツを売るいとうせいこうの対談や、新連載「死刑」を考える、の保坂さんのインタビュー、「六ヶ所村再処理工場は動かすべきかやめるべきか」、糸井さんの連載最終回……今号はとくに読み出があります。こういう記事だけならべるとまるで『週刊金曜日』のように見えるけど、今号の主たるトーンは「寒さに備えるものたち」って感じで、あんか、湯たんぽ、腹巻き、などなど、あったかい誌面です。

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