卒業式撮影禁止
3月に初めての卒業式を迎える和歌山県田辺市学園の県立田辺中学校(浜野公二校長)は、個人情報保護法などを理由に、会場での保護者らによるカメラやビデオ撮影を事実上禁止する方針を立てている。[中略]
同校では、本年度から式典で保護者に撮影をしないよう求めており、入学式の際は、保護者あての案内ハガキに「個人情報保護法により、写真・ビデオの撮影等ご遠慮ください」と記載したり、会場で協力を呼び掛けたりした。(2/16 紀伊民報)
保護者からなんで撮影させないのかと不満が出ているそうですが、そもそも個人情報保護法は理由にならないでしょう。どんな法律だと思っているのか。
県教委は「学校が決めた事柄で、県教委が良い悪いは言えない。良識の範囲内の撮影なら法律には抵触しないだろう」と話している。(同)
って、教育委員会もよくわかってないみたいです。
「良識の範囲内」ってそんなあいまいな。
個人情報保護法っていえば「なんでもダメ」になると思っているのが、言っている本人だけでなく、保護者や教育委員会までそうなので困ります。
新聞も、ちゃんと正確な情報を伝えるべきでしょう。こんなことだから新聞の存在意義が疑われるのです。
なんで誰もちょっと考えてみる、調べてみるということすらしないのかな。
こういうのを知るたびに、「成熟した市民社会」なんかほど遠いよなあと思います。
個人情報保護法は「5000件以上」の個人情報を保持する「事業者」が対象なので、そもそも個人が扱う情報は個人情報保護法にはまったく関係がない。
もちろん嫌がる生徒や親がいるかもしれず、だとすればそれは尊重しなければなりませんが、そういう声があるということは報道にはありません。それでもそうだとした場合、ひっかかるとすれば肖像権であって、個人情報保護法によるものではないですよね。
が、一方では記念に残したいという親も多いでしょうし、個人が撮影することを制限するかどうかは、一方的に法を適当に解釈しながら通達するようなもんではなくて、学校と親たちが話し合って決めればいいことです。撮影したものを公表することを制限するならまだしも。
ところで「田辺市学園の県立田辺中学校」って私立なのか市立なのか県立なのか「?」でしたが、「学園」という地名なんですね。