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Posts from the ‘政治・社会’ Category

17
4月

逆転無罪判決

最高裁が痴漢事件で逆転無罪判決を出しました。

こうした事件では、でもやったんじゃないの?みたいな発言がよく聞かれますが、問題はやっているかやっていないかではない、ということを銘記しなければなりません。

繊維鑑定などの証拠が何もないにもかかわらず、被害者の証言のみで、一審・二審は有罪になっていたのです。
「被害者がウソをつくはずがない」といった非合理的な解釈によって、証言だけが有罪の根拠となってしまうことに、またそのような判決を出す裁判所があるということに、戦慄しなければなりません。
捜査、起訴、裁判の正当性や公正性の問題であり、国や社会のあり方の根幹を問う課題として注目しなければなりません。

今回は幸いにして無罪判決が出ましたが、痴漢に限らず、やっていないのだから、やったという証拠などあるわけなく、有罪になるはずがない、と思い司法を信じながら裏切られ、どれほど多くの人が刑に服さなければならない絶望を味わってきた(そして今も味わっている)ことでしょうか。

もうひとつ、このニュースで気になったのは、いくつかの報道機関が、無罪判決を受けた人を匿名にしていたことです。
無罪だから匿名にしたのでしょうか。
今回匿名にしている報道機関が、有罪判決のときにも匿名にしていたのかどうか、検索してみたけれど過去記事はことごとくウェブでは見ることができないので、まだ確認できていません。
しかしもし、有罪は顕名、無罪は匿名というルールで記載しているとすると、このような逆転無罪判決の際に、傷つけられた名誉の回復ができないことになります。
ずっと通して匿名にしていたというのなら、いいのですが……でも多くの報道機関は、そうしてはいないように思います。

23
2月

ここにも卵に寄り添う人が。赤川次郎

赤川次郎さん、というと、軽いミステリー小説の作家、というイメージしかなく、僕が中高の頃、新進作家として一躍人気が出ていたのを横目にしながらも、僕はまったく読まないできました。
しかし最近、社会派な小説を書き、アムネスティに関わるなど、リベラルな活動をかなり精力的にされていたんですね。全然知りませんでした。

(今の状況をどう見ているかと問われて)
状況の変化をどう捉えるかというのも大事ですが、どんな状況になっても人間としてぶれないことが大事だと思います。
「ぶれない」とは?
作家である僕にとってそれは、弱い人の立場に立つというスタンスです。

週刊『金曜日』2009/2/20号 p.34

ついこの間、よく似た言葉を、ぼくとしてはどちらかといえば軟派に分類していた作家から聞いたばかりです。

僕の見る目のなさを恥じいるばかりです……が、しかしうれしい。

こういう方々の、こういう言葉は、元気が出ます。
とりあえず最近の、社会の問題をテーマにしたという作品をよんでみたいと思います。

赤川次郎さんの御尊父は、あの伝説のアニメーション『白蛇伝』のプロデューサーだったとか。東映を辞めてテレビ会社に入ったけれど上司と喧嘩して退職、そのため次郎青年は大学進学せずに就職、校正の仕事をしながら小説を書き始める。御尊父が何で喧嘩をしたかは書かれていないのですが、映画界からテレビ界への転身ですから、映像作品への姿勢の違いとかそういうことかなと想像します。
創作やそれを伝えることの意味について、そして場合によっては生活を危うくしても守らなければいけないことについて、きっと背中からでも学んだことがあるのだろうなあと、これも勝手な僕の想像ですが。

17
2月

卒業式撮影禁止

3月に初めての卒業式を迎える和歌山県田辺市学園の県立田辺中学校(浜野公二校長)は、個人情報保護法などを理由に、会場での保護者らによるカメラやビデオ撮影を事実上禁止する方針を立てている。[中略]
同校では、本年度から式典で保護者に撮影をしないよう求めており、入学式の際は、保護者あての案内ハガキに「個人情報保護法により、写真・ビデオの撮影等ご遠慮ください」と記載したり、会場で協力を呼び掛けたりした。(2/16 紀伊民報)

保護者からなんで撮影させないのかと不満が出ているそうですが、そもそも個人情報保護法は理由にならないでしょう。どんな法律だと思っているのか。

県教委は「学校が決めた事柄で、県教委が良い悪いは言えない。良識の範囲内の撮影なら法律には抵触しないだろう」と話している。(同)

って、教育委員会もよくわかってないみたいです。
「良識の範囲内」ってそんなあいまいな。

個人情報保護法っていえば「なんでもダメ」になると思っているのが、言っている本人だけでなく、保護者や教育委員会までそうなので困ります。
新聞も、ちゃんと正確な情報を伝えるべきでしょう。こんなことだから新聞の存在意義が疑われるのです。
なんで誰もちょっと考えてみる、調べてみるということすらしないのかな。

こういうのを知るたびに、「成熟した市民社会」なんかほど遠いよなあと思います。

個人情報保護法は「5000件以上」の個人情報を保持する「事業者」が対象なので、そもそも個人が扱う情報は個人情報保護法にはまったく関係がない。

もちろん嫌がる生徒や親がいるかもしれず、だとすればそれは尊重しなければなりませんが、そういう声があるということは報道にはありません。それでもそうだとした場合、ひっかかるとすれば肖像権であって、個人情報保護法によるものではないですよね。

が、一方では記念に残したいという親も多いでしょうし、個人が撮影することを制限するかどうかは、一方的に法を適当に解釈しながら通達するようなもんではなくて、学校と親たちが話し合って決めればいいことです。撮影したものを公表することを制限するならまだしも。

ところで「田辺市学園の県立田辺中学校」って私立なのか市立なのか県立なのか「?」でしたが、「学園」という地名なんですね。

17
2月

どんなに卵が間違っていても

どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ。

村上春樹のスピーチを訳してみた [hatena.ne.jp]

いい言葉だ。勇気をもらえる。全文をぜひ読みたいものです。

スタンスは明快になった。この機会に、まだ読んでいなかった作品も読もう。

11
2月

ハイ、先生! ハイ、専制。

会議では、手を上げたり議論して議決することは禁止。

えーっと、それって会議なの?
と思うわけですが、それを「会議」として運営することにきっと意味があるのです。
特に教員の会議において、そのようなきまりがあるそうなので、やっぱり子どもたちに民主主義を敵だと教えようとする立場ならではですね。北朝鮮という専制国家の性格をよく表しています。

……と言えればいいんですが、北朝鮮のことではなくて、ここ、民主主義を標榜する国の首都が運営する高校でのことなので頭痛い。

そして頭にくる。
徹底的にいじめ抜くのだ、アタリマエのことを言い、行う人を。

職員会議:都教委の挙手禁止通知 反対の都立三鷹高校長、非常勤採用されず
東京都教育委員会が職員会議で挙手・採決を禁止した06年の通知の撤回を求めている都立三鷹高校(三鷹市)の土肥信雄校長(60)が定年後の非常勤教員の来年度選考に応募したところ、不合格にされていたことが分かった。31日、土肥校長が自身の支援集会で明らかにした。土肥校長は不合格を不服として取り消しを求める訴訟を検討する考えだ。
(毎日jp 2009/2/1)

こうしたことが意外に知られていないことにもしばしば驚きます。新聞やテレビで、大きな問題としてとりあげられていないということなんでしょうが、年頃の子どもを持つ親でも知らないことが普通みたい。マスコミが監視役として機能していない。
たぶん、ニュース性がないといった言い訳になるのでしょう。たしかに、そのような報道はウケナイのでしょうね。

それでも「土肥先生の勇気ある行動を尊敬している」、と言ってくれる青年がいるのは救いです(三鷹高校卒業生が1/31の支援集会でそう語ったとのこと)。