Thank you so much, Mr. Jobs.
ジョブズは、歳を重ねるごとに、より大きなことを成し遂げてきた。iPod-iTunes-iTunes music storeで音楽のエコシステムを作り上げたとき、すごい、余人を以って代え難いと思ったが、ほんとうに、まさにinsanely greatだと心から思ったのは、iPhoneの発表を見たときだった。
アップルが、ジョブズが、iPhoneでなしとげてくれたのは、すばらしくデザインされた製品を世に出すこと、だけでなく、そのようなデザインアプローチが可能であること、そのようなアプローチでなければ成功できなかったことを、世に知らしめてくれたことだ。
なぜ日本の企業にはiPhoneを作れなかったのか、ということをいう人がいるが、作れないのは日本の企業だけではない。世界中どこを探しても、iPhoneを、あれほど徹底的にデザインされたケータイを作り得るのは、アップル以外なかった。
ユーザーのアンケートからでは作り得ない。ユーザーを深く理解した者が、論理と経験を武器に徹底的にデザインすることでしか、iPhoneは作れない。
そして、その徹底したデザインの力を信じ切れる者にしか、製品化して、世に出すことはできない。
徹底したマーケティングではなく、徹底したデザイン。
そうやって生み出した製品とサービスを、成功に導いてくれたことが、彼の一番の功績だと思う。
おかげでぼくも、自分が信じることを、自信を持ってまっすぐに進めていくことができる。
ありがとう、スティーブ・ジョブズ。
# いまごろは、ラスキン翁にiPhoneを自慢してるところかなあ。
水の上でGPS (GPS-CS3K)
ゴールデンウィークに、ボルネオ島、コタキナバルというところに行ってきました。
行く直前に、ソニーのGPS「GPS-CS3K」を購入。これ単体では現在地の緯度経度を知ることぐらいしかできないので、行っている間はただひたすらログを記録するのみ。飛行機に乗っているときも窓側の席では衛星をとらえていました。帰りは飛行機のまんなかの席だったのですが、ずっととらえることができませんでした。
帰国して地図の上に行程をプロット。
特に今回は水上を移動することがあり、その際に地図をみることがままならなかったので、あとからどこを移動したかを見られるのはとても面白い。
これは、カヤック(カヌー)でのマングローブ林ツアー。青い線がカヤックによる軌跡です。
A地点の水上集落からカヤックで出発。B地点からはマングローブの林の中の水路を抜けていき、C地点でカヤックからエンジン付きの船に移って帰還。
Bに入る前ぐらいにすっかり陽が暮れ、ほぼ天頂に位置した半月の月明かりの元でマングローブの林の中へ。
常緑樹の葉がぼうっと月明かりを反射している中、ところどころにはっきりとした白い点滅、蛍を見ることができました。
軌跡を地図上で拡大してみると、蛍やマングローブを見るために岸に近寄ったところまでちゃんとわかる記録がされています。
右の地図はその次の日のダイビング。コタキナバルからバスで二時間、そこから船でマンタナニ島へ。
行きは良い良い、帰りは酔い酔い。いや、ぼくはなんとか酔わずにすんだけれど、風のとても強い日で、おそろしく船が揺れ、小さい船だったので波をかぶってずぶぬれになりながらの帰還でした。なので港に着くのが待ち遠しく、陸地がそばに見えているのになかなか着かない苦しい時間をすごしたのですが、波でスピードが遅かっただけでなく、波を避けて相当遠回りをしていたのでした。
船上では地図を見る余裕などありようもなかったので、GPSのログがなければわからなかったでしょう。
ところでGPS-CS3Kは、デジカメのSDカードをこいつに入れることで、写真に座標データを付加してくれる機能があり、これならMacだけでも使えるから便利、と購入に踏み切ったのでした。
実際にやってみると、間違いなくログが取れているときに撮影している写真でも、座標データを付加してくれないものがあり、今のところまだ原因不明(探求していないだけですが)。座標データが付加できた写真については、iPhoto ’09で地図上にピンが立ちました。
ルートの表示はiPhotoではできないので、付属のソフトでWindows上でプロット。あまり使いやすいソフトではなく、ほかにもいろいろ方法はあるでしょうがとりあえずそれが手軽でしたので。
海外旅行のように広範囲を移動したり、まったく知らない土地に行って、自分で地図を見て動くのでなくガイドについていくような場合、あるいは水の上で場所を特定できないような場合、やはりGPSの記録があると面白いです。
懐かしTurbo
開発環境であるDelphiを調べていて、最近はまたTurboシリーズが復活していることを知った。
Turbo Delphiって、今タダで使えるんですね。
procedure
begin
..
end
なんて記述を超久しぶりにみて、ちょっとトキメキましたよ。Parallels上のWindowsに入れてみようか。
製品版のパッケージが、かつてのTURBOシリーズのデザインを踏襲していて、なんかうれしい。
そういえばフィリップ・カーンさんは今はどうしているんだろう……と検索してみたら、新しい会社作って健在のようで何より。
それどころか、iPhone買ってすぐのころに入れてたサイコロソフト(MotionX Dice)は、カーンさんの会社(Fullpower Technologies, Inc.)製だったと今さら知りました。
Wikipediaの「フィリップ・カーン」の項には、1997年カメラ付きケータイの発明ってあって……その前からカメラ付きケータイなんてあるような気がしてたんですが、日本での最初のカメラ付きケータイは1999年9月DDIポケット発売のVP-210だとか。まだ10年たってなかったなんて。
ぼくはフィリップ・カーン率いるボーランド社が出していたTurbo Pascalの大ファンでした。
その理由は
・Pascalという言語そのものがもつ魅力
・非常に高速なコンパイル
そして、
・エディタと一体化した開発環境の軽快な使い勝手
でした。
ダイヤモンドカーソル、ワードスターライクのコマンドによって、フルキーボードから手を放すことなくコーディング、エディットとコンパイル、実行ができ、そしてまたそれらが実に気持ちいいスピードで動きました。
ボーランドにとうてい勝ち目はなかったけれど、もしあのとき、マイクロソフトではなく、ボーランドがオフィススイートの勝者になっていたら……何倍もいいワープロや表計算ソフトで、世界の効率はもっとよくなっていたはず。
# このエントリ、いまどきの人には、なんの話だかサッパリ……じゃろうねえ。
Wordに対峙する武器もうひとつ
できることならエディタだけで編集まですませ、レイアウトが必要ならInDesignで作ってPDFで納めたい……。
でもそうはいかない様々なシガラミが、ぼくをWordに対峙させているわけですが、先日紹介した本とは別にもう一冊、新たなる魅力的な武器を見つけました。
『もう迷わない! Wordのしくみと落とし穴 2007対応』
西上原 裕明 著
技術評論社
ISBN: 978-4774136431
これも、順序を追いながら、Wordでやりたいことを確実に実現するための方法を、具体的に書いてくれている本です。
そして、「こうやるとうまくいかない」ということがきちんと書いてある。これがいい。
「これはWordの不具合です」
「こうすればよさそうに思えますが、正しい手順はまったく逆」
「(この機能は)使わないことをおすすめします」
「およそ理解しがたい仕様です」
なんて書いてある解説本はあんまりありません。
で、問題の原因がはっきりしていれば、そのことも書いてあるので、無駄な試行錯誤をする必要がありません。
そう、試行錯誤。
Wordで思い通りの結果が得られないのは、すごく分かりにくいながらも、何か守るべきルールや順番があって、それに従ってないからだと思っていました。
でもルールも正しい順番もなく、あるのは、「正しいとは思えないけどこうすれば一応できる」という経路だけだったのですね。
でもそうなると、それは膨大な試行錯誤からしか探し出すことができない。
だから、自分のかわりにその膨大な試行錯誤をしてくれた人の書いたものを読んで、わずか1900円あまりという対価でその成果を利用させてもらえるということのありがたさといったら。
この著者、西上原裕明さんは、本当に実に根気よくWordのしくみを調べています。ページ数としては240ページほどですが、ここまで具体的にまとまった情報として書くには、書かれている何倍もの、相当な努力が必要だったことでしょう。想像しただけで気が遠くなります。
こうしたいんだけどこれはどうすればいいの? なんでこうしてもこうならないの? などと、マイクロソフトの担当者にでも直接ぜひ聞きたい(そうでもしないとわからなそう)と思っていたようなことが、ずいぶん解消されました。
で、読んでから思いましたが、たぶん、マイクロソフトの担当者に聞いても分からなかったでしょうね。
このとおりにすればよい、という道筋が見えているのは(見せてくれるのは)、ほんとうにありがたいことです。
構成もいいし、注釈も図も、的確で必要十分な、ほしいと思う情報がほしいと思う場所にちゃんと載っているし。編集が行き届いています。熊谷さん、いい仕事しています。
前に紹介した本は『エンジニアのための……』とあるとおり、多少、テクニカルな感覚を持っていたほうが読みやすいのですが、この『Wordのしくみと落とし穴』は、ふつうの初心者の人でも抵抗なくささっと読めるでしょう。
それにしてもマイクロソフト。
世界最大のソフトウェア会社が、どうしてこんな不備の多いものを作るのか。
正直、前の本と、この本を読むまでは、ぼくは単にWordのユーザーインターフェースに問題があるだけ(それでも相当な混乱具合ですが)だと思っていたのですが、そもそもの機能の設計や実現にも問題がかなりあることが、今更ながらよくわかりました。
この本のタイトルにある「落とし穴」、これ普通は、使う側が陥りやすいミス、みたいなときに使われる言葉ですけれど、ことWordに関しては、ほんとにマイクロソフトが落とし穴を掘っているのだと言っていいと思います。
Wordがうまく使えないと思っている人は、多いはずです。
普通考えたらこうはならないはずなのに、こんな結果になってしまうのは自分が悪いんだ、何かちゃんとしたやり方があるはずだ……と。
でもそうじゃない。
悪いのは自分ではなく、Wordです。
使えないのが正常です。使えるように作られてないもの。
大河ドラマの『天地人』の脚本があまりにお粗末に感じられ、見続けるかどうかで迷っていたのですが、ある段階から「これはツッコミを楽しむことにしよう」と気持ちを切り替えて、今はけっこう楽しみにしていたりします。
それと同じ気持ちを、Wordにも持てるようになった気がします。